NYXARIA JOURNAL / 2026.09.03

クォーターターンとは?Tシャツ中央の折り目が消えない理由

Tシャツ中央の縦の折り目は洗濯ジワではなく、丸胴という筒状編み地を裁断した跡です。生地厚4.5oz/yd²(153g/m²)の仕様にある「センターの折り目を抑えるクォーターターン」の意味と、DTGプリントとの関係を実データで説明します。
クォーターターンとは?Tシャツ中央の折り目が消えない理由

新品のTシャツを広げたら、胸の真ん中に縦の筋が一本まっすぐ入っていた。そんな経験はありませんか。畳み方が悪かったのかと疑いたくなりますが、一度着て洗濯しても、その筋だけは消えません。

実はこれ、生地の作り方に関わる仕様の話です。仕様書に出てくる「クォーターターン」という言葉の意味も、ここから理解できます。知っておくと、次に一枚を選ぶときの見方が変わります。

そのスジは、たたみジワではなく編み方の都合です

Tシャツの生地の多くは、丸胴という筒状の編み地から作られます。丸胴とは、脇に縫い目がない筒状の編み地のことです。編み機がそのまま筒の形で生地を編み上げます。

筒のまま裁断台に置くわけにはいかないので、一度平らに畳む必要があります。畳めば、生地の両端に折り目が生まれます。これは避けられない工程です。

この折り目は、洗濯によるシワとは性質が違います。着る前のたたみジワなら、洗って干せば伸びます。ですが編み地そのものが折れてできた筋は、糸の並びごと折れているので、洗濯や乾燥だけでは戻りません。

丸胴の仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、丸胴とサイドシームなしTシャツ|脇の縫い目がない仕様で変わることに、脇の縫い目がない仕様全体の意味をまとめています。

折り目が体の真ん中に来る理由

筒状の生地を平らに畳むと、折り目は生地の両端、つまり脇にあたる位置に一本ずつできます。生地を広げた状態で見れば、端から端まで一直線に走る筋です。

ここから前身頃と後ろ身頃をそのまま裁断すると、生地の中央に折り目が残った状態で服の形になります。生地の中央は、着たときには体の真ん中です。

つまり何も工夫しなければ、一番目立つ位置に消えない筋が立ちます。デザインを中央に配置するTシャツほど、この位置はできれば避けたいところです。

無地でも見え方は変わりますが、グラフィックを胸の中央に置くデザインほど、折り目の有無が印象の差になります。仕様として折り目の位置まで決めておく理由は、ここにあります。

クォーターターンは、折り目を脇へ逃がす裁断です

この問題への対策が、生地を90度回転させてから裁断する方法です。これをクォーターターンと呼びます。文字どおり、生地を4分の1回転させるという意味です。

90度回すと、両端にあった折り目は体の脇側へ移動します。前身頃・後ろ身頃の中央からは外れる位置です。仕様では、これを「センターの折り目を抑えるクォーターターン」と表記しています。

言葉のとおり、中央を避けるための裁断方向という意味です。折り目そのものをなくす方法ではなく、目立たない位置へ逃がす方法だと理解すると分かりやすくなります。

回転させずにそのまま裁断すれば手間は省けますが、それでは折り目が中央に残ります。90度回してから裁断する一手間を、仕様として先に決めています。

肩から肩までのテーピングと同じで、縫い目ではなく裁断や縫製の段階で効いてくる仕様です。完成した服を見ただけでは分かりにくい部分に、品質の差が出ます。

DTGプリントと折り目の関係

NYXARIAのプリントはDTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)方式です。DTGは、生地の繊維にインクを染み込ませる方式です。生地の上にインクをのせて層を作る方式ではありません。

染み込んだ部分は、繊維の動きが周囲と変わります。折り目の筋が地の生地に残っていると、その線を境に繊維の動きが変わるためです。

動きが変わる境目にインクが入ると、入り方にムラが出やすくなります。結果として、その線に沿って絵柄が割れて見えることも珍しくありません。

中央に大きく配置するデザインほど、この影響を受けやすいというのが実際のところです。逆に折り目が脇へ逃げていれば、グラフィックの主要な部分は線の外に収まります。

フロントの中央にモチーフを置く一枚ほど、この差ははっきり出ます。次に紹介する両面設計の一枚は、まさにその条件にあてはまります。

DTGと他の印刷方式の違いをもう少し比較したい方は、プリントウェアのお手入れガイドで整理しています。

両面プリントほど、センターの折り目が効きます

NOCTURNE EDEN GUINEAは、フロントとバックの両面にDTGプリントが入る一枚です。モチーフは禁断の果実で、「無垢と誘惑、その境界にあるエデン」という一枚です。

商品説明では「フロントはブランドサインを抑制して配置」「バックを主役にしたストーリー性のある両面設計」としています。あわせて「アート性と着やすさを両立する余白設計」とも書かれています。

両面にプリントがあるということは、折り目の影響を受ける面が二倍になるということです。フロントの中央に筋が残れば、控えめに配置したブランドサインの見え方にも響きます。

バックを主役にした構図なら、なおのこと中央の乱れは避けたい要素です。センターの折り目を抑える裁断は、片面プリントより両面設計でこそ効いてきます。

生地厚は4.5 oz/yd²(153 g/m²)で、無地カラーはリングスパンコットン100%です。厚みや素材が変わっても、丸胴とクォーターターンという裁断の考え方は変わりません。カラー4色のどれを選んでも、この仕様は共通です。

届いてからできること

生地の性質上、折り目そのものをゼロにすることはできません。ただし、悪化させない扱い方はあります。

洗濯は裏返して冷水・弱水流で行ってください。漂白剤・柔軟剤・ドライクリーニングは避けます。乾燥は低温乾燥または吊り干しを選びます。

畳むときは中央で折らず、脇に沿って畳むと、もとの折り目の位置とけんかしません。ハンガーに吊るしておく方法も有効です。

特に両面プリントの一枚は、フロントとバック、どちらの面も畳み方の影響を受けます。中央で折る畳み方をやめるだけで、両面とも折り目の悪化を防げます。

アイロンをかける場合は、裏返して低温で当ててください。プリント面には直接当てないでください。畳み方とプリントの関係は、プリントTシャツの衣替え保管|たたみ方でプリントは変わるに詳しくまとめています。

胸の真ん中の縦の筋は、不良ではなく編み地と裁断の関係から生まれます。クォーターターンは、その筋を目立たない位置へ動かすための仕様です。

折り目の位置まで裁断段階で詰めた一枚は、新作の一覧からも探せます。