NYXARIA JOURNAL / 2026.09.05
DTGプリントの位置がずれる理由|工程からわかる個体差
DTGプリントのTシャツを選ぶとき、写真とまったく同じ位置に柄が入るかどうかが気になる方は多いはずです。商品ページには「実物の色味やプリント位置にわずかな差が生じる場合がある」という一文があります。色の話はいったん脇に置き、位置がなぜ動くのかだけを工程からたどります。
プリント位置に差が出ると商品ページに明記されている理由
掲載画像はモックアップです。閲覧環境やボディカラー、生地特性は結果に影響します。また、実物の色味やプリント位置に差が出る場合があると明記されています。
プリント位置のわずかな個体差について、以下で確認します。
生地とプリント位置の関係
DTGは、注文が確定してから生地をプリンターにセットし、1着ずつ刷る方式です。量産のスクリーン印刷のように、同じ版を数百枚分まとめて固定するわけではありません。
Tシャツ1枚ごとに、生地を張ってプリントヘッドの下に配置する作業が入ります。この配置には数ミリ単位の揺れが生まれ、それが写真との位置差につながります。
両面プリントの商品は、前後の位置合わせが一工程増える
片面だけにプリントするデザインなら、位置を合わせる工程は1回で済みます。バックを主役にしたストーリー性のある両面設計のように、前後にプリントが入る商品もあります。その場合は表側をセットして刷ったあと、裏返してもう一度セットし直す作業が加わります。
セットし直す回数が増えるほど、位置を決める工程の数も増えます。前面は写真とほぼ同じ位置でも、背面は数ミリ違って見える、という個体差が起きやすいのはこのためです。片面デザインは、この工程が1回で終わる分、位置のばらつきが出る余地も相対的に小さくなります。
丸胴には基準にできる縫い目がない
Tシャツの多くは、脇に縫い目がない筒状の編み地——丸胴——で作られています。NYXARIAのボディも丸胴で、肩から肩までのテーピングと合わせて共通の仕様になっています。
脇に縫い目があるTシャツなら、その縫い目を左右の基準線としてプリント位置を揃えられます。丸胴には左右を分ける目印がありません。生地を広げてセットする段階でわずかな回転が生まれても、外から確認できる基準がないまま刷られることになります。
クォーターターンがセンターの位置を動かす
NYXARIAのボディには、正面中央の折り目を抑えるクォーターターンという仕様が使われています。生地の筒を4分の1だけひねって縫うことで、強い折り目が残りにくくなる作り方です。
ただし、このひねりの角度にも1着ごとにわずかな個体差があります。角度が変われば、正面から見た中央の位置も一緒に動きます。
折り目そのものの仕組みは、クォーターターンとは?Tシャツ中央の折り目が消えない理由で扱っています。中央の基準がどう決まるかを先に押さえると、位置の差を工程として理解しやすくなります。
サイズが変わると同じ版でも見え方が変わる
サイズが変わっても、プリントの版そのものは同じ位置を狙って刷られます。ところが身幅は、Sの45.7cmから3XLの71.1cmまで、25.4cmの差があります。
同じ版を同じ位置に刷っても、身幅が広いサイズほど、柄は身体の中心から見て内側に寄って見えます。ずれて見える印象のいくらかは、サイズによる身幅の違いから来ています。
| サイズ | 身幅 | 着丈 |
|---|---|---|
| S | 45.7cm | 71.1cm |
| M | 50.8cm | 73.7cm |
| L | 55.9cm | 76.2cm |
| XL | 61.0cm | 78.7cm |
| 2XL | 66.0cm | 81.3cm |
| 3XL | 71.1cm | 83.8cm |
表を見ると、身幅はサイズが一段階上がるごとに、およそ5cm前後ずつ広がっていくことがわかります。版の位置は変えずに、この土台だけが広がっていきます。サイズをまたいで写真同士を見比べると、柄の位置が動いたように感じやすくなるのは、この土台の違いが理由です。
手持ちの服を平置きで採寸し、実寸表と突き合わせておくと、届いた実物のプリント位置を見比べる基準ができます。色味の差にも同じ考え方が使えます。詳しくは、モックアップと実物で色が違う理由|4つの原因と失望を減らす選び方にまとめています。
プリント面積が広すぎないデザインは、この種の個体差が相対的に目立ちにくくなります。NOCTURNE ASCENT CAT Tシャツのような一枚は、その一例です。動物モチーフを他のサイズやデザインと見比べたい場合は、アニマルズコレクションから確認できます。
DTGは生地の繊維にインクを染み込ませる方式
DTGは、生地の繊維にインクを染み込ませる方式です。生地の上にインクの層を重ねる方式ではないため、プリント部分だけが硬くなることはあまりありません。
染み込んだ部分は、繊維の動き方がわずかに変わります。洗濯や着用を重ねると、柄の輪郭に細かな表情の変化が出ることがありますが、位置そのものが動くわけではありません。
デザインによって、位置の差が目に入りやすいかどうかも変わります。文字を前面に出したタイポグラフィ中心のデザインは、基準になる直線が多いぶん、数ミリの傾きにも気づきやすくなります。一方でイラストを大きく配置したデザインは、輪郭が曲線中心のため、同じ数ミリの差でも印象に出にくい傾向があります。
位置のずれと不良を分ける線引き
ここまでの工程を踏まえると、写真と実物で数ミリ単位の位置差が出ることは珍しくありません。気になる差がある場合は、写真を添えてお問い合わせください。
一方で、柄が大きく傾いている、左右どちらかに大きく寄っている場合は話が別です。意図した面と反対側に刷られている場合も同じく、仕様の範囲を超えたものとして扱われます。到着後30日以内に、注文番号と写真を添えて連絡する条件が設けられています。
数ミリの個体差か、それを超えるものかを見分ける目安があります。届いたらまず正面から一枚写真を撮っておくと、あとから見比べやすくなります。
撮った写真と商品ページの画像を並べ、柄の傾きと左右の寄りを確認します。柄の傾きや左右の寄りが気になる場合は、写真を添えてお問い合わせください。