NYXARIA JOURNAL / 2026.09.02
Tシャツの袖丈20.9cm|二の腕は袖を長くしても隠れない
Tシャツの商品ページに「袖丈20.9cm」と書いてあっても、それが自分の二の腕のどこに落ちるのかは、すぐには想像がつきません。袖が中途半端な位置で止まって、一番気になるところに横の線が入ってしまう。あの失敗を避けたいのに、数字の意味が分からないまま決めることになります。袖丈という数字が何を測ったものかを先に押さえると、選ぶ向きがはっきりします。
袖丈20.9cmは、腕の長さではありません
袖丈は、肩の縫い目から袖口の端までを、袖の外側に沿って測った長さです。腕の付け根から先までの寸法ではなく、肩の頂点を起点にしています。20.9cmという数字は「肩から20.9cm下がったところに袖口がある」という意味です。
ここが分かると、同じ袖丈でも人によって落ちる位置が違う理由も見えてきます。肩幅が広い人ほど、袖ぐりの位置は外へずれます。腕が長い人ほど、二の腕全体に対する20.9cmの占める割合は小さくなります。
もう一つ効いてくるのが身幅です。身幅が広いほど袖ぐりは深くなり、袖の筒そのものも太くなります。同じ20.9cmでも、袖ぐりが浅ければ袖口は上腕の途中で締まり、深ければ同じ高さに布がゆるく載ります。
袖丈は、腕のどこに落ちるかを単独では決められない数字です。身幅とセットで見て、はじめて着たときの姿が読めます。
袖丈・身幅・着丈を並べて見る
ボディはGildan 64000で統一しているため、デザインが変わっても寸法は動きません。三つの数字を並べると、どこが動いてどこが動かないかがはっきりします。単位はcmです。
| サイズ | 身幅 | 着丈 | 袖丈 |
|---|---|---|---|
| S | 45.7 | 71.1 | 20.9 |
| M | 50.8 | 73.7 | 21.6 |
| L | 55.9 | 76.2 | 22.2 |
| XL | 61.0 | 78.7 | 22.9 |
| 2XL | 66.0 | 81.3 | 23.5 |
| 3XL | 71.1 | 83.8 | 24.1 |
海外規格のユニセックスなので、日本のサイズ表記の感覚とは1つぶんずれることがあります。手持ちのTシャツを平置きで測り、この表と並べるのが確実です。
1サイズ上げても、袖は0.6〜0.7cmしか伸びません
袖丈の刻みだけを並べます。20.9 → 21.6 → 22.2 → 22.9 → 23.5 → 24.1。差はそれぞれ0.7、0.6、0.7、0.6、0.6cmです。
SからXLまで3サイズ上げても、袖丈は20.9cmから22.9cmで、増えるのは2.0cm。Sから3XLまで5サイズ上げても3.2cmです。指の幅2本ぶんほどしかありません。
一方で、身幅の刻みはこうなります。45.7 → 50.8 → 55.9 → 61.0 → 66.0 → 71.1。1サイズごとにおよそ5cm、Sから3XLで25.4cmの差です。
二つを並べると比率が見えます。身幅が25.4cm広がるあいだに、袖丈は3.2cmしか伸びない。身幅がおよそ8cm増えて、ようやく袖が1cm伸びる計算です。袖を長くする目的でサイズを上げても、届く距離はほとんど変わりません。
着丈も同時に動きます。71.1から83.8cmまで、1サイズおよそ2.5cm刻み。袖丈の刻みの4倍近い速さです。サイズを上げるという操作は、袖以外のところを大きく動かす操作だと考えたほうが実態に近くなります。
二の腕をカバーする方向は「長く」ではなく「ゆるく」
ここから答えが出ます。サイズを上げて手に入るのは袖の長さではなく、袖ぐりと袖口の余裕です。そして見え方に効くのは、後者のほうです。
袖口が腕にぴたりと張り付くと、生地が腕の輪郭をそのままなぞります。布が一番太い部分で止まり、そこに横の線が入る。腕の太さが線で際立ってしまう形です。長い袖を選んだのに太く見えるのは、たいていこれが起きています。
袖口にゆとりがあれば、布は腕から離れて落ちます。輪郭をなぞらないので、腕と袖の境目がぼやけます。覆う面積を増やすより、この落ち方のほうが結果として細く見えます。
袖口が当たる高さも変わります。袖の筒が太いと、布は腕に触れずに肩のラインからそのまま垂れます。腕と布のあいだに空気の層ができ、袖口の縁が肌に食い込みません。二の腕が気になる人ほど、この空気の層を作りにいくのが近道です。
2サイズ上げるという判断は、袖丈1.3cmのために身幅を10.2cm動かす選択です。ねらいが長さなら割に合いません。ねらいが袖口のゆるさなら、これは正しい打ち手になります。
袖口が張り付くかどうかは、生地の厚みでも変わります
薄すぎる生地は、汗や湿気で腕に貼り付きます。せっかく袖口にゆとりがあっても、布が肌に吸い付けば輪郭は出てしまいます。逆に厚すぎる生地は、袖口が硬く張り出して肩から先を大きく見せます。
NYXARIAのボディは4.5 oz/yd²(153 g/m²)です。貼り付くほど薄くはなく、突っ張るほど厚くもない中間の厚みで、袖口は腕から適度に離れて落ちます。
この厚みが実際にどう感じられるかは、Tシャツの4.5ozはどのくらい?153g/m²の厚さと透け感で透け方まで含めて書いています。腕まわりの安心感は、透けにくさともつながっています。
脇に縫い目がないと、袖ぐりが引きつれにくい
このボディは丸胴です。丸胴とは、脇に縫い目がない筒状の編み地のこと。生地を筒のまま裁って作るため、脇に縫い代の段差ができません。
脇の縫い目は、腕を上げたときに袖ぐりを引っぱる起点になります。縫い目がないぶん生地が素直に回り、袖ぐり周りの引きつれが出にくくなります。腕を動かしても袖口の位置が暴れません。座って肘を曲げたときに、袖口だけが二の腕へずり上がる現象も起きにくくなります。
肩には、肩から肩までのテーピングが入っています。肩線が伸びて崩れないので、袖丈の起点である肩の縫い目が動きません。洗濯を重ねても、袖口の落ちる位置が安定します。
この仕様が着心地をどう変えるかは、丸胴とサイドシームなしTシャツ|脇の縫い目がない仕様で変わることにまとめています。
サイズの決め方は、手持ちの平置き採寸から
手順は単純です。持っているTシャツのうち、袖の落ち方が一番しっくりくる一枚を平置きにして、身幅を測ります。
- その身幅に近いサイズを表から選ぶと、袖ぐりのゆとりが再現できます
- 二の腕まわりにもう少し余裕がほしいなら、そこから1サイズ上げます
- ただし着丈も2.5cm、身幅も約5cm動きます。全体のシルエットが変わる点は織り込んでおいてください
身幅と着丈をどう組み合わせて決めるかは、Gildan 64000のサイズ感|実寸の身幅と着丈で選ぶ方法で手順を追って説明しています。
該当する一枚を選ぶなら
寸法はNYXARIAの全商品で共通です。デザインが違っても袖の落ち方は変わらないので、サイズの判断は一度で済みます。アパレル全点から、好みの絵柄で選んでください。
フロントだけで完結する静かな一枚がよければ、NOCTURNE VIGIL CAT Tシャツ(¥3,500)。前後で見え方を変えたいなら、バックを主役にしたストーリー性のある両面設計のEMERALD BLOOM CAT Tシャツ(¥4,500)があります。
袖の長さで悩みを解こうとすると、数字は3.2cmしか動きません。動かせるのは袖口のゆるさのほうです。そこを基準にすると、選ぶサイズは自然に決まります。