NYXARIA JOURNAL / 2026.09.10
DTG前処理とは、届いたTシャツの跡でわかる仕組み
受注生産のTシャツが届いて広げてみると、プリントの部分にうっすら四角い跡が見えることがあります。 特にBlackやNavyのような濃い色のボディでは、その部分だけ生地の色味がわずかに違って見えることも珍しくありません。 これは不良ではなく、DTG印刷の工程で必ず生まれる痕跡です。 仕組みを知っておくと、最初の洗濯までのあいだも落ち着いて着られます。
DTGは繊維にインクを染み込ませる方式です
DTGは、生地の繊維そのものにインクを染み込ませて絵柄を発色させる方式です。 表面にインクを乗せて厚い膜を作る方式とは仕組みが異なり、生地の風合いを保ったまま色を定着させます。 当店で使用しているボディはGildan 64000で、生地厚は4.5 oz/yd²(153 g/m²)が基準です。
無地カラーはリングスパンコットン100%で、Sport Greyのみコットン90%・ポリエステル10%の混紡になっています。 繊維が細く均一なリングスパンコットンは、インクの染み込む道筋も均一になりやすく、DTGとの相性が良い生地です。 折り目やひび割れが気になる場合の理由も、層が厚いからではなく、染み込んだ部分だけ繊維の動き方が変わるためです。
染み込んだ範囲は、生地の厚みがある分だけ手で触れたときの感触もわずかに変わります。 この感触の違いはプリント部分の手触りで詳しく確かめられます。
前処理は色を沈ませないための下準備です
前処理は、インクを繊維にしっかり定着させ、ボディの色にプリントの色が沈むのを防ぐための工程です。 生地にそのままインクを乗せるだけでは繊維の奥まで色が届きにくく、洗濯を重ねるたびに発色が鈍りやすくなります。
先に前処理を行うことで、繊維がインクを受け止めやすい状態に整い、濃い色の生地でも図柄の輪郭や淡い色味が沈みきらずに残ります。 届いた直後に見える薄い跡は、この工程が行われた印であり、プリントの完成度を支える下準備の痕跡です。
前処理の工程そのものはどのカラーでも共通ですが、仕上がりに求められる均一さの基準はボディの色によって変わります。 この基準の違いが、Black・Navy・Sport Grey・Whiteの条件差として表れます。
Black・Navy・Sport Grey・Whiteで条件が変わります
前処理の役割の重さは、ボディカラーによって変わります。 BlackやNavyのような濃色は、生地そのものの色がプリントの発色を邪魔しやすく、前処理でインクの定着面をより丁寧に整える必要があります。 濃色のボディで細かい図柄を選ぶ場合ほど、この工程の意味が大きくなります。
反対にWhiteは地の色が白いため、色を沈ませない役割の負担が軽く、Sport Greyはその中間に位置します。 同じデザインでもボディカラーを変えると仕上がりの印象が変わって見えるのは、この条件の違いが理由のひとつです。 Blackを選ぶ場合、NOCTURNE ECHO CAT V2 Tシャツのような濃色ボディの一枚も、同じ前処理の工程を経て仕上げています。
前処理の入り方にむらがあると、跡の濃さが左右で少し違って見えることもあります。 これも生地の織り方や湿度による自然な差で、洗濯を終えれば気にならなくなります。
図柄の面積が広いデザインほど、前処理を必要とする範囲も広くなります。 届いた直後の跡がくっきり見えやすいのは、色を沈ませない範囲を広く整えた結果で、発色を優先した仕上げの表れです。
前処理の跡は最初の洗濯で消えます
前処理の跡は生地の表面に残った成分によるもので、プリントの不具合ではありません。 最初の洗濯で目立たなくなり、着用を重ねるうちに気にならなくなっていきます。
洗濯は裏返して冷水・弱水流で行い、漂白剤・柔軟剤・ドライクリーニングは避けます。 乾燥は低温乾燥または吊り干しを選び、アイロンをかける場合は裏返して低温で、プリント面に直接当てないようにします。 この手順は前処理の跡だけでなく、プリント全体を長持ちさせる洗い方と同じで、詳しい工夫は洗濯でプリントを長持ちさせる方法にまとめています。
アイロンと保管で気をつけたいこと
最初の洗濯を終えるまでは、プリント面へ直接熱を当てないようにします。 アイロンをかける場合は必ず裏返し、低温であてるのが基本です。 前処理の成分が残っている段階で高温を当てると、色の定着に影響が出ることがあります。
保管は畳んでおくだけで十分ですが、届いてすぐに着る予定がない場合もあります。 そのときは一度、裏返して冷水・弱水流で洗ってから収納すると、前処理の跡を残したまま長く置くことを避けられます。
注文から前処理を経て届くまで
受注生産のTシャツは、注文が確定してから1点ずつ製作に入ります。 前処理からプリント、乾燥までの工程を経て、製造にはおよそ2〜5営業日かかります。
発送後は国内配送でおおむね1〜8営業日が目安です。 前処理の跡が薄く残った状態で手元に届くのは、この一連の工程を経てきた証でもあります。
気になったときに確かめる方法
前処理の跡そのものは不良ではありませんが、プリントの位置や色味まで気になる場合は、DTGでの白下地の役割を確認すると、濃色での発色の仕組みが理解しやすくなります。 素材の面から染み込みやすさを知りたいときはリングスパンコットンの特徴も参考になります。 どちらも前処理そのものではなく、その手前にある生地とインクの関係を扱った内容です。
アニマルモチーフの一覧はアパレルの一覧から確認でき、猫モチーフのNOCTURNE VIGIL CAT Tシャツも同じDTGと前処理の工程を経て仕上げられた一枚です。 跡の正体を知っていれば、届いた瞬間の不安は要らなくなります。
最初の一枚を迎える前に確認しておきたいこと
- 届いた直後にプリント部分へうっすら跡が見えても、不良ではなく前処理の痕跡であること
- 跡は最初の洗濯でほぼ目立たなくなり、着用を重ねるとさらに気にならなくなること
- 洗濯は裏返して冷水・弱水流、乾燥は低温乾燥または吊り干しで行うこと
- BlackやNavyのような濃色ほど、前処理の役割が大きい生地であること
四つとも、届いた直後に見比べれば数分で確認できることばかりです。 手順として覚えておけば、次に別のカラーを選んだときも同じ流れで安心して迎えられます。